乾燥肌を改善する食べ物と食事のルール【管理栄養士監修】

乾燥肌を改善する食べ物と食事のルール【管理栄養士監修】

乾燥肌になってしまう原因は人それぞれで、さまざまな理由があげられます。例えば、乾燥しやすい季節であることや、年齢による肌質の変化などが考えられます。しかし、普段の食事に少し気をつけることで、乾燥の要因に負けない肌作りをサポートすることができることを、ご存知でしょうか?今回は、身体の内側から乾燥肌を改善していくために必要な情報をまとめました。

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1.スキンケアだけではダメ! 乾燥肌の改善に食事の改善が必要な理由

1-1.身体はすべて、食べたものでつくられる。

私たちは空腹状態が長時間続くと、力が出なくなったり、集中力が切れてしまったりします。しかし、そのような状況に陥った時には、何かしらの食べ物を口にすることで、たちまち元気になり、エネルギーを回復することができますよね。

あるいは、ダイエットなどで食事を減らすことで瘦せたり、ジャンクフードや油物を食べすぎて太ってしまったりというように、食事の量や内容の影響で体調や体型が変わるといった現象は、多くの方が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

これらの事象からも分かるように、私たちの身体は、細胞ひとつひとつまで、毎日、毎食、何を口にしたかによって状態が変わります。裏を返せば、身体で起きる特定の悩みに関しては、毎日、毎食、食べ物を変えることで改善できるものもあるのです。

ここで重要なのは、食べ物の内容や質だけではなく、食事から摂った栄養が使われる順番です。では、その順番とは一体何を指すのでしょうか。紐解いていきましょう。


1-2.栄養の消費はシャンパンタワー式! 乾燥肌は、栄養が満ち足りないと改善不可能

乾燥肌でお悩みの方は、健康的な肌を維持するためには充分な量の栄養が足りていない、もしくは肌に行き渡る前にストレスや病気によって栄養が消耗されているかもしれない、といった可能性が考えられます。なぜなら、食事から得た栄養は、はじめから全身にまんべんなく均等に与えられて使用される訳ではないからです。

栄養が使われる順番は、以下のようになります。

私たちが食べ物から摂取した栄養は、はじめに生命維持に必要不可欠な血液や脳で使われ、次いで、筋肉などの身体を構成する大事な部分に使われます。まずはこれらの重要な箇所に栄養を行き渡らせた後、余った栄養でストレスや病気の治癒をおこないます。

そして、爪や髪の毛、肌には、各所で使用されてごくわずかになってしまった栄養が最後の最後に使用されるのです。これらの身体の一番外側にあり見た目に直結する部位ほど、生命維持のためにはあまり重要ではない分、栄養の状態が鮮明に出やすいのです。

ここでいう栄養とは、単なる“量”だけではなく、“質”も含みます。単純に食べる量を増やすのではなく、食べ物の内容や質を変えたら、内側から改善できる可能性があるということです。

だからこそ、乾燥肌の改善には美容液やクレンジングなどによる毎日のスキンケアも重要ですが、食べ物によって細胞に栄養を行き渡らせるためのインナーケアも重要なのです。

1-3.食べ物を変えると、乾燥肌だけではなく髪や筋肉も変えられる?!

肌の細胞や皮脂のために質のよい栄養を取り続け、身体を栄養で満たすとどうなるのでしょうか。

正解は、肌をはじめ爪や髪など、見た目の年齢や美しさに関係する部分をケアすると同時に、血液や筋肉なども同時にケアできるのです。

その理由は、先程シャンパンタワーで例えたように、食事によって乾燥肌を改善するまでのステップにヒントがあります。

私たちが「肌に充分な栄養を与えたい」と考えたときは、一番上のグラスから最底辺のグラスすべてに、質のいいシャンパン=栄養をたくさん注ぎ続ける必要があります。

また、シャンパン=栄養は、どれか特定のグラス(部位)だけに注がれることはありません。

そしてこのシャンパンの量が多ければ多いほど、シャンパンタワーのすべてのグラスにシャンパンが注がれ、つまりそれは、全身に栄養が行き渡ることを意味します。

肌のための栄養改善が、結果として全身のあらゆる細胞の改善にも繋がる。肌も髪も体質も、全部良くしたい! そんな方にとっては、嬉しい話ですね。

2.簡単ですぐ実践できる! 乾燥肌を改善する食事の方法は?

具体的にどのような食事内容や食べ物を摂取すればいいのでしょうか。

簡単で、今日からできる乾燥肌の改善に効果的な食事をお伝えします。

乾燥肌を改善する食事のポイント

  • タンパク質は植物性と動物性どちらもバランスよく!

  • カタカナの料理や加工食品、お菓子を控えよう!

  • 野菜は色が濃いものを選んで、良質な油と一緒に摂ろう!

  • 糖質は精製度が低いものを!黒いものほど乾燥肌改善におすすめ!

  • 水分補給はジュースやコーヒーではなく“お水”を!


2-1.タンパク質は植物性と動物性どちらもバランスよく!

肌作りに必要な、栄養価の高いタンパク質や脂質を摂るために、最も簡単で栄養価もグンとアップする方法があります。それはズバリ、動物性と植物性、どちらのタンパク質も合わせて摂取することです。


特に乾燥肌対策におすすめのタンパク質の食材は、以下の通りです。

  食材 おすすめポイント
鯖缶 イワシ缶 鮭の水煮缶
  • DHA、EPAが豊富
  • 缶詰めなので脂質が酸化していない
  • 調理不要ですぐ食べられる
ゆでたまご
  • 安価につくれて持ち運びもできる
  • コンビニでも手に入る
  • 肌に必要な脂質(コレステロール)も摂れる
牛肩ロース肉
  • 肉の中では脂質が少なく、亜鉛の含有量ナンバーワン
  • 亜鉛が豊富なことでよく勧められる牡蠣よりも気軽に摂取できる食材
ギリシャヨーグルト
  • 低脂質&高タンパク質
  • スイーツとして食べられる低GI食品
納豆
  • ヒアルロン酸より保湿力が高いとされるポリグルタミン酸が豊富
  • 安価で毎日の食事に取り入れやすい
無調整豆乳
  • 液体なので気軽に摂取できる高タンパク質食品
  • イソフラボンが豊富

Q.タンパク質の1日の必要量は?

目安としては、植物性と動物性を合わせてで構わないので、1日あたり1g×自分の体重(㎏)分のタンパク質を摂ることが望ましいです。例えば、60kgの方であれば、60gが摂取目安となります。ただし、タンパク質は一度に吸収できる量に限界があります。朝や夜に集中して必要なタンパク質量をすべて摂るのではなく、1日2~4回に分けて、10~20gずつタンパク質を摂るのが理想的です。

目安としては、1回の食事で20gほどのタンパク質が摂れるように、片手の手のひらに乗るだけのタンパク質の食品をプラスしていきましょう。もともと準備していたおかずの量も考慮しつつ、タンパクのトータルが20gほどになるように、いろんな食材を組み合わせてみてください。


2-2.カタカナの料理や加工食品、お菓子を控えよう!

「脂質」と聞いて多くの方が意識しやすいのは、牛肉の霜降り部分や、バター、揚げ油など“目に見えている部分の脂質”だと思いますが、“隠れた脂質”を意識することも大切です。

例えば、マーガリンやひまわり油に含まれるリノール酸は、アトピー性皮膚炎や、しつこい乾燥肌の原因になると考えられています。リノール酸を多く含む食品を避ける一番簡単な方法は、カタカナの名前の加工食品やお菓子を控えることです。

リノール酸やトランス脂肪酸たっぷり! 摂りすぎ注意のカタカナ食品
 サラダ油、ゴマ油、ダイズ油、コーン油、ベニバナ油、ハンバーグ、チョコレート、ケーキ類、ドレッシング、カップ麺、スナック菓子、マーガリン、バターロール、 メロンパン、クロワッサン、パイ生地、ドーナツ、クッキー

前述の食べ物は、いずれもリノール酸が多い油が含まれていたり、調理にふんだんに使われています。また、これらの食品には、動脈硬化や心疾患などに大きく影響するために、海外では規制がかかっているトランス脂肪酸も多く含まれていることが懸念されます。食品に含まれている油が、肌だけでなく身体の様々な部分に影響することを考えて、上手に食品選びをしましょう。


Q.脂質が不足する心配はない?

これだけの食品を避けたら、脂質の不足を疑う方もいらっしゃるかもしれませんが、その心配はありません。先ほど述べたように、毎日しっかりと肉や魚、卵、納豆などのタンパク質製品が摂取できていれば問題ありません。それらの食品に含まれる脂質だけでも、健康的な身体の維持に必要な脂質を充分賄うことが可能です。それを踏まえて、よくない脂質を含む食品をなるべく避けていきましょう。

2-3.野菜は色が濃いものを、良質な油と一緒に積極的に摂ろう!

私たちの肌をつくる細胞膜や保湿因子はすべて、タンパク質と脂質から構成されています。特に、乾燥肌を改善するために必要なのは、ビタミンA。ビタミンAは卵黄やレバーに多く含まれますが、このビタミンAに変換される“ベータカロテン”を、色が濃い緑黄色野菜から摂ることも大切です。また、同じくカロテンに分類される、トマトなどに多い“リコピン”もおすすめしたい成分です。

ベータカロテンやリコピンは抗酸化作用に長けており、体内の活性酸素の除去に働いてくれるという特徴があります。活性酸素は、簡単に言うと身体のサビ(老化)の原因をつくり出す物質です。肌でいうと、活性酸素がうるおい・ハリを保つコラーゲンやエラスチン、セラミドの合成を妨げることで、乾燥や、シミ、シワまでも引き起こす原因になり得ます。

そして、これらの緑黄色野菜に含まれる色素成分は、質のよい脂質と一緒に摂ることで吸収率がアップし、それぞれの栄養の相乗効果を享受できるといった特徴があります。栄養の効果を最大限引き出せるように、食べ方を工夫してみましょう。


以下、緑黄色野菜と良質な脂質が組み合わさった、おすすめのメニューをまとめてみました。

おすすめの緑黄色野菜+良質な脂質のメニュー例
  • さばのトマト煮込み
  • ナッツ入りキャロットラペ
  • パプリカとアボカドのコブサラダ
  • ブロッコリーとゆでたまごのサラダ
  • かぼちゃの天ぷら
  • ほうれん草のクルミ和え
  • 小松菜とツナの炒め物

これらのメニューを参考に、色が濃い野菜と良質な油を組み合わせたメニューを取り入れて見てみましょう。

2-4.糖質は精製度が低いものを! 黒いものほど乾燥肌にもってこい

肌の老化や乾燥を防ぐためには、血糖値の急上昇を防ぎ、身体を糖化させないことが大切です。 つまり、精製度が高い白米や食パン、砂糖を含むような、血糖値が上がりやすい“白い糖質”を控えること。 そして出来るならば、なるべく食物繊維が含まれていて、精製度が低い“黒い糖質”を選ぶことが重要です。

また、乾燥肌を予防したい場合は、肌の細胞同士の隙間をうめて水分の蒸発を防ぐ“グルコシルセラミド”の摂取も効果的です。このグルコシルセラミドが多く含まれる食材も、食物繊維を豊富に含み、黒い色をしているという特徴があります。

精製度の低い糖質 グルコシルセラミドを多く含む食品
玄米、胚芽米、大麦、そば、オートミール、全粒粉のパンやパスタ、じゃがいも、さつまいも こんにゃく、黒ゴマ、黒豆、小豆、ひじき、わかめ、ごぼう、そば、小麦胚芽、米ぬか


これらの黒い色をした食品は、日本人になじみ深い和の食材ですが、現代の食文化では意識しなければ習慣的に摂取することが難しいが難しいかもしれません。 しかし、習慣的に意識して摂取することができれば、そのメリットは肌の水分量の改善だけにとどまりません。むしろ肌よりも重要な、血糖値や血中脂質、便通などの改善も期待できます。

ここは難しく考えず、間食で甘いもの(精製糖質)を減らし、食事では積極的に“黒い糖質”を取り入れてみましょう。


2-5.水分補給はジュースやコーヒーではなく、お水やノンカフェインのお茶で

肌の水分量を保つためにも水分補給は大切です。 乾燥対策をするうえで、最もよい飲み物は、基本的に水か、ノンカフェインのお茶となります。

水分補給の際、その健康飲料的なイメージから積極的にスポーツドリンクや乳酸菌飲料、甘い味のついた清涼飲料水に分類される水を選んでいらっしゃるかもしれませんが、これらの飲料はすべて、あまりおすすめできません。汗をかくような運動をしていない時に、甘い清涼飲料水やスポーツドリンクで水分補給することは、単糖類の摂り過ぎになり、“糖化”の原因になりかねないからです。


では、なぜ糖質が含まれていないようなブラックコーヒーやウーロン茶、紅茶などで水分補給することも、あまりおすすめできないのでしょうか。それは、カフェインの利尿作用によって反って脱水を招いてしまうからです。

日頃、水分補給のために小まめに水分を摂取したいときは、基本的には水か、ノンカフェインのお茶以下から選ぶとよいでしょう。


Q.ノンカフェインのお茶を飲むなら、どれ?

中でもおすすめなのは、ルイボスティーとローズヒップティーです。これらのお茶はどちらもノンカフェインなだけでなく、強い抗酸化作用を持つという特徴があります。

肌の乾燥や老化を防ぎたい場合は、ぜひこれらのお茶で二度おいしい水分補給がおすすめです。

ノンカフェインの飲み物 ★ルイボスティー
★ローズヒップティー
・たんぽぽコーヒー
・麦茶
・そば茶
・ハーブティー
・コーン茶

まとめ

乾燥肌を根本から改善・予防するには、スキンケアだけでなく、肌によいとされる食べ物を積極的に取り入れることが重要であると分かりました。

是非、ご自身の生活の中で取り入れられるものから少しずつ実践して、肌だけでなく、全身が若々しく乾燥知らずになる日を目指しましょう♪


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